ロシアのプーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領はどのような関係なのでしょうか?
世界から孤立するロシアと手を組む理由がベラルーシにはあるのでしょうか?
ウクライナ侵攻にベラルーシも巻き込もうとするプーチン大統領は、
それほどまでにウクライナにこだわる理由とは一体なんなのか?
ベラルーシの独裁者のルカシェンコ大統領がプーチン大統領の言いなりになる理由を調べてみました。
ベラルーシとロシアの関係は?
今のベラルーシを拝見すると、なんだかプーチン大統領の言いなりのような関係に見えませんか?
ベラルーシとロシアは元々ソビエト連邦でした。しかし、ソビエト連邦の崩壊によりベラルーシとして独立国家になりました。
ベラルーシとは、日本語では白ロシアという意味です。
ベラルーシとロシアは実は連合国家を作る予定でした。
1999年にロシアの当時の大統領エリツィン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領の間で「ベラルーシ・ロシア連合国家創設条約」が調印されていました。
しかし、2000年からロシアの大統領になったプーチン大統領がベラルーシのロシアへの吸収合併を意味する発言を繰り返したため、ルカシェンコ大統領が反発し、ロシアとベラルーシの関係は悪化したままになりました。
2009年では、ロシアが石油価格の引き上げでベラルーシのルカシェンコ大統領に揺さぶりをかけ、ロシアへの吸収合併を邪魔しているルカシェンコ大統領をなんとか排除しようとしていました。
2010年ではウクライナの大統領が親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が就任したことで、半年以内にロシア・ベラルーシ・ウクライナを構成する統一国家プログラムを正式に発表できるだろうと当時のロシアエフゲニー経済・起業担当国会委員会長は述べていました。
当時のウクライナ大統領のヤヌコヴィッチ大統領はEU連合への調印を見送っています。
今のウクライナのゼレンスキー大統領の2代前になります。
2010年では、ベラルーシとロシアとの間でエネルギーをめぐっていざこざが発生し、ロシアとベラルーシとの関係が統一国家に向けて動き出すのには難しい問題があったようです。
ロシアは2010年のベラルーシ大統領選でなんとしてもルカシェンコ大統領を排除し、ロシアへの吸収合併を目指していたようです。
ロシアとベラルーシは今までにも石油がガスをめぐって争いがあり、順調にロシアとの関係を築いたわけではなかったようです。
折り合いがつかずにいたロシアとベラルーシですが、近年ではベラルーシのルカシェンコ大統領のロシアのプーチン大統領の「しもべ」志望を表明しているようです。
プーチン大統領とルカシェンコ大統領の間では、ルカシェンコ大統領をロシアの大佐にするという約束をしているようです。
2020年頃から統合の話が進みだしました。
ベラルーシの大統領選挙では、ルカシェンコ大統領が8割の票を獲得して6選と報じられたが、市民が抗議デモを開催し、政府は弾圧したようです。
このことで、窮地に追い込まれたルカシェンコ大統領は
「ロシアのプーチン大統領から、ベラルーシの安全の保障のために、全面的に協力すると電話で言われた」
ヨーロッパの仲介は拒否しロシアの支援を受ける形になりました。
ルカシェンコ大統領は「我々は、外国の政府や仲介者を必要としない」
と述べたことで、孤立したベラルーシはアメリカやEUに制裁を喰らい、プーチン大統領が唯一の支援者になったという流れです。
ルカシェンコ大統領はなぜプーチン大統領の言いなり?
ルカシェンコ大統領は、EUやアメリカからの制裁をされたことや、自身の立場が危うくなったことでロシアのプーチン大統領に助けを求めました。
そこから、ロシアの支援にすがるようになったようです。
今のベラルーシのルカシェンコ大統領はプーチン大統領の部下というように見えますが、ベラルーシがロシアのプーチン大統領に協力的、言いなりになっている理由をご紹介します。
①強いソ連への憧れ
ベラルーシはかつてソ連の一部でした。当時のベラルーシ最高会議の議員だったルカシェンコはソ連の解体に唯一反対した議員だとも言われています。
ベラルーシの独立以降30年間独裁者として君臨したきたルカシェンコ大統領は周辺諸国(旧ソ連圏や東欧諸国)がEUに接近していましたが、基本的にはずっとロシアよりに動いていました。
ベラルーシは1992年に発足したロシア中心の軍事同盟(集団安全保障条約)の一員です。
加盟国は旧ソ連構成のアルメニア・キルギス・カザフスタン・タジキスタンです。
いずれかの国が攻撃を受ければ共同で対応することになるようです。
②唯一の支援者であるロシアに歯向かえない
先に述べたように、しばしばロシアとの関係が悪い状態にありました。
天然ガスや石油などのエネルギー価格値上げしたり、ベラルーシ産の商品の輸入をストップしたりとベラルーシにとっては大きなダメージでした。
ベラルーシはロシアとの距離を縮めたが、同時にロシアとの関係を壊すようなことがあってはならない立場になりました。
③EUとの強い拒絶反応
ルカシェンコ大統領は「独裁者」としてEU内で強い拒絶反応があるようです。
ポーランドとリトアニアとの関係は特に深刻で歴史的にはベラルーシやウクライナはポーランドリトアニア同君連合によってポーランド語を強制されてきたという歴史があります。
ルカシェンコ大統領にとっても、両国は危険な存在でもあるようです。
④ルカシェンコ大統領は崖っぷち
独裁者として30年間もベラルーシを支配してきたルカシェンコ大統領ですが、2020年にも大規模なデモが発生し。EUは2021年の東方パートナーシップ会議でベラルーシの参加失格を停止しました。このことはポーランドとリトアニアの働きかけが大きかったようです。
そのため、ルカシェンコ大統領はロシアに頼るしかなくなったという状況です。
抗議デモでは多くの人々が警察による拷問や暴行を受けたと言われています。
欧米諸国ではルカシェンコを「正統な大統領とは認めない」ことを決定しています。
ロシアにとっては、ルカシェンコがいなくなったとしても、ベラルーシはロシアよりになるしかないと目算があるため、崖っぷち独裁者であるルカシェンコ大統領はロシア(プーチン)の顔色をうかがいながらウクライナ侵攻に手を貸さざる負えないようです。
プーチン大統領がウクライナにこだわる理由
プーチン大統領は旧ソビエト連邦を復活させるように動いているのではないかと思われます。
ベラルーシもロシアへの吸収合併を示唆していますし、ウクライナも元々ソビエト連邦でした。
強いロシアへなるために、かつてのソ連構成国をまとめ上げることが狙いだと考えられます。
2021年の夏にロシアのプーチン大統領は「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」という論文を発表しており、両国は1つの民族であるルーツが同じ兄弟国だと主張しています。
歴史的には、ウクライナもかつてのソ連の一つでした。
さらに昔にさかのぼると、ウクライナ、ロシア、親ロ派のベラルーシは9~13世紀にあったキエフ大公国(キエフ・ルーシ)が起源とされています。
プーチン大統領が嫌っているNATOは冷戦時代にソ連に対抗するために作られた西側の軍事同盟です。
旧ソ連を復活させたいと考えているならば、ウクライナがNATOに加入することはプーチン大統領にとって許されない事なんでしょうね。
NATOはソ連解体後に次々に東欧などの旧東側の各国が加盟したことで現在は30か国が加盟しています。
ロシアから考えれば、ウクライナやベラルーシは場所的にもNATOとの境目であり、プーチン大統領はNATOの東方拡大に苛立ちを隠せないようになっているようです。
ロシアは昨年12月にアメリカとNATOにウクライナなどへNATO不拡大の確約などを求めたようですが、これを拒否されています。
ウクライナ侵攻のキッカケはここにあったのかも知れませんね。
ウクライナ侵攻のプーチン大統領の演説では、
「NATOがウクライナに拡大することは、受け入れ難い」「隣の歴史的領土に、反ロシアがつくられようとしている」「我々にとって、民族としての歴史的未来に関わる問題」「我々はウクライナの非軍事化と非ナチ化を目指す」「(侵攻は)ウクライナを人質にし、我々に対し利用しようとする者から、ロシアを守るためだ」
と述べています。
プーチン大統領から考えれば、ロシアがNATOに奪われているような感覚だったのでしょう。だからと言ってウクライナ侵攻をしていいことにはなりませんが・・・。